課題
 有効性
 先進性
 成果目標
 全体概要・構成
 教育的効果および活用例
 体制図
 8、9月     12月
 10月       1月
 11月       2月
 10月4日
 実践の評価
 e-ラーニング



■評価の方法

本プロジェクトの目標がどの程度達成できたか、その成果をどのように評価するかを検討するにあたり、以下のような調査を実施した。

  1. 不登校児童生徒や担当教員が利用することで、児童生徒の教室復帰に進歩がみられたかどうかについて調査を行い評価する
  2. 家庭学習が成立しているかどうかをe-ラーニングサイトへのアクセスログ、学習履歴等の調査を行い評価する。
  3. 児童生徒、教師などへのヒアリング調査を行い評価する。
  4. 評価の際の調査データは、統計学の専門家から指導を受けながら分析を行い評価する。

■調査結果

今回、e-ラーニングサイトの利用実践による児童生徒の教室復帰は、実践期間中には見られなかった。今後の継続的な利用の中で調査を続けていきたい。また、アクセスログ、学習履歴等の調査については、サンプルデータが少なく統計学的な分析が行なえなかった。しかしサイトを利用した児童生徒、教員へのアンケート及びヒアリング調査により、評価と考察を行なうことができた。

→アンケート及びヒアリング調査結果PDF(120K)


■プロジェクト全体会での評価・助言

  • 不登校問題は心理的な課題も多く含んでいるので、早急に結果を出すという風に急いではいけない。(長期的に実践を行っていくことで対応する。)
  • 松原市という、一人ひとりの顔の見える教育を行う仕組みが出来ている地域だからこそ可能になる取り組みだと思う。(今後もその点を大切にして実践を行っていく。)
  • 子どもたち一人ひとりに対応できる基盤が出来ているとはいえ、システムに乗ってしまうとやはり見えにくい部分も出てくる。特に様々な原因で不登校になった子どもたちが今回の対象なので、ある程度対象者のモデル像を想定しておくことが必要なのではないか。そうしなければ、今後量的な評価をした場合効果の判定が正しく出来ない。
    (今回はパターン分けされたモデル像の作成までは出来ないので、はじめからある程度対象者が決まっている中で進めていく。また、学校、担任、訪問指導員、家庭で連携して、システムだけに頼らないかたちでやっていくことで対応)
  • 今の子どもたちの学力問題や社会性の問題を整理し直して、対象となる子どもをパターン化できればいい。(今後の継続利用の中で行っていきたい。)
  • 数学分野は積み上げの教科と言われるが、一度つまずくと追いつくのが大変である。いろいろな教科の中で、とりわけ数学は理解の仕方も違うので、その点を見極めて、つまずきに対して具体的にどう対処するか、ある程度オーダーメイド的に教材を作成していくこと必要ではないかと思う。
    (その都度作成をすることは困難なので、はじめからいくつかのパターンを用意しておき、選べるようにすることで対応する。また、教員が今後コンテンツの作成・追加をしていくことで、多くのパターンを提供できるガイドラインとマニュアルを作成した。)

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■評価改善委員会での評価・助言

【要望】

不登校児童と学校とのコミュニケーション問題も考慮した、不登校児童・生徒に向けたe-ラーニング(コンテンツ含む)の要件を明確にすること。
(今回作成したe-ラーニングソフトソフトでの学習は、教員が隣に並んで同じ画面を見、会話を交わしながら利用をした。印刷して独習用に作成したPDF形式の練習問題も、画面を見てメモ用紙に途中式を書きながら、その場で教員と答え合わせを行った。このような使い方は、コンテンツ作成に関わった教師との協議の中で考案され、基本的な利用例としてアナウンスした。)

【コメント】

不登校状況を尺度化し、本プロジェクト実践の効果を客観的に評価すること。
(今後も継続して利用していく中で行っていく。)

【その他】

不登校児童・生徒を担当している先生のニーズ、e-ラーニングのコンテンツの使い方、保護者と教育委員会の連携のあり方について整理して欲しい。


■考察

【不登校児童生徒の家庭学習と学校での学習との連携】

e-ラーニングは学習を始めたいときにいつでも取り組むことができ、生活リズムが崩れがちな不登校児童・生徒でも無理なく利用できる。またネットワークを通じてどこからでも利用できるため、家庭や教育支援センター、別室登校の場面で利用に有効である。
今回開発を行ったのは、授業ビデオとデジタルコンテンツ(e-ラーニングサイト内では「アイテム」とよばれる)を中心としたe-ラーニングサイトであるが、実際の作成作業に入る前の段階(教科、単元の設定段階)から教育委員会や学校現場の教員の意見を取り入れてきたため、完成したコンテンツは教員が教えたいこと、授業で理解させたいポイントが授業ビデオの進行とともに段階的に盛り込まれたものとなった。
このことから、本e-ラーニングサイトを利用することで授業以外の場(家庭学習、教育支援センターでの学習及び別室登校など)でも学校の授業と同じポイントをおさえた学習をすることができる。

【共通基盤制作ガイドラインの作成】

本プロジェクトは、松原市の全市的・総合的な既存の人的支援ネットワークの負担を軽減し、不登校児童生徒の段階的な教室復帰を目指すことを目標にしたが、コンテンツ開発スケジュールの遅れから実践の実施期間が非常に短期間となった。
しかし、教育委員会や学校現場の意欲的な協力を得ていくつかの実践を実施し、コンテンツの開発から利用までの一連の流れをガイドラインとしてまとめることで、今後の継続的な利用につなげることができたことは成果として評価できると考える。
これは利用者へのアンケート及びヒアリング調査での、今後のコンテンツ利用に対する前向きな意見から判断できる。(「アンケート及びヒアリング調査結果」参照)

【リサイクルパソコンやLinuxなど安価な機器の活用】

将来的な普及を視野に入れ、コンテンツ利用への敷居を低くすることを目的に、リサイクルパソコンやLinuxなどの安価なハードウェアの活用を実験的に行った。
利用は不登校生徒の家庭学習を想定していたが、実践に協力していただける不登校生徒の候補が2名しか挙がらず、実践期間中ではその内の1名しか実施することができなかった。
そのため統計学的に調査を行えるだけの情報が収集できなかったので、今回は専門家の指導による分析は行っていない。今後継続して利用していく中で、統計学的な分析に取り組んでいきたい。
現時点での利用の際の意見、感想には以下のようなものがある。これは生徒の担当教員によるヒアリング結果だが、コンテンツについてではなく、Linuxに対してのコメントが中心であった。今回の学習者がパソコンに対する興味関心の強い生徒であったということに起因していると思われる。

  • 良かった点
    デスクトップやナビゲーション画面がシンプルで、わかりやすかった。
    まったくのパソコン初心者でなければ、少し慣れれば使いやすいと思う。
  • 悪かった点
    ボリュームの設定変更の方法など、コマンドがわかりにくい。
    シンプル過ぎる。もう少し補足説明が必要。
    画面がシンプル過ぎて初心者には親しみが持てないかもしれない。

以上の評価から、画面がシンプル(単純)でわかりやすい反面、シンプル(飾り気がない)過ぎて初心者には親近感が持ちにくい、ということが言える。
これについては、今回作成した利用マニュアルを改良し、初心者でも迷わず利用できるようにするとともに、利用を重ねる中で操作に慣れていけば解決できる課題であると考える。

【実践事例の収集】

プロジェクト実施期間中の実践事例は6件であった。
しかし、学習支援検討会議に参加した教員の中には利用に前向きな教員も多く、教材で取り上げた単元は年度始めに学習する内容であることから、次年度の利用に向けて意欲的である。
また、収集した事例の中には、プロジェクト実施期間終了後も利用を行なっているものもあった。


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■成果の普及方法

本プロジェクトにおいて開発を行ったe-ラーニングソフトは、利用マニュアルと合わせて本サイト<成果物>で一般に公開し、教育目的で教材として利用する場合には利用を無償で提供する。
ソフトの開発や、活用方法についての技術情報については、学習支援教材の単元の選定、カリキュラム作成の流れなど、開発関係者の連携体制から具体的な作成作業、活用案までをまとめたガイドラインを作成し公開する。
ガイドラインには、e-ラーニングサイトを効果的に活用するためには人的支援ネットワークの基盤として利用することを明記し、それらを包括するシステムとして提案する。
これらの普及を促進するために、研究会やセミナーなどの場で積極的に実践報告を行う。また実践を行なった松原市では、今後も継続して本e-ラーニングサイトを利用していく。


■今後の課題

今回のプロジェクトでは、実践実施期間が当初の予定よりも短くなってしまい、コンテンツの継続利用がもたらす変化を捉えることができなかった。
しかし、利用者に対する調査の結果からわかるとおり、今後も継続して利用していける体制を整えることができたことが最大の成果であった。
今後は今回の実践で明らかになった問題点を解決し、実践事例をもとに、利用の対象となる児童生徒の実態に応じた活用のバリエーションにより対応できるようコンテンツを改良し、ガイドラインに基づいて活動を行うことで、既存の支援体制に更なる広がりを持たせていくことが課題である。